こんにちは、カタタマのDSKです。
3月4日、昭和大学病院で病理検査の結果について伺い、正式に精巣癌という診断を受けました。今回は診断結果の詳細と今後の治療方針・現在の心境などについてまとめます。
入院&手術の経緯については以下の記事をご覧ください。
組織診断報告書の詳細
医者じゃないので詳しい事を書かれていても、それがどういう事だか分からない部分も多かったので、今回は自分が理解出来る部分で重要と思われる箇所を抜粋します。
病理組織診断
要するに精巣がんのステージ1とのことです。
TMN分類ってなんぞ?という方は多いと思いますが(僕もそうです)、ネットで調べたところ以下の様な分類だそうです。
MSDマニュアル プロフェッショナル版『精巣腫瘍のTNM分類および血清マーカーの定義』より引用
原発腫瘍 pTX 評価できない pT0 原発腫瘍(例,精巣の瘢痕)の所見なし pTis 精細管内胚細胞腫瘍(上皮内癌) pT1 精巣および精巣上体に限局しており,血管およびリンパ管浸潤はない白膜には浸潤している可能性があるが,精巣鞘膜には浸潤していない pT2 精巣および精巣上体に限局しており,血管またはリンパ管浸潤がある;または白膜を越えて進展しており,精巣鞘膜に浸潤している pT3 血管またはリンパ管浸潤の有無にかかわらず,精索に浸潤している pT4 血管またはリンパ管浸潤の有無にかかわらず,陰嚢に浸潤している 所属リンパ節転移 NX 評価できない N0 なし N1 1つまたは複数のリンパ節に転移を認めるが,いずれも最大径が2cm以下である N2 最大径が2cm超かつ5cm以下の1つまたは複数のリンパ節に転移を認め,その他の最大径5cm以下のリンパ節転移の有無は問わない N3 最大径が5cmを超える1つまたは複数のリンパ節に転移を認める 遠隔転移 M0 なし M1 あり M1a 後腹膜以外のリンパ節または肺への転移を認める M1b 所属リンパ節以外のリンパ節または肺への転移を除いた遠隔転移を認める 血清マーカー SX マーカーが利用不能または未測定である S0 値が正常範囲内である S1 LDHアッセイでLDH値 < 1.5 × 正常上限かつhCG値 < 5000mIU/mLかつAFP値 < 1000ng/mL S2 LDHアッセイでLDH値 = 1.5~10 × 正常上限またはhCG値 = 5000~50,000mIU/mLまたはAFP値 = 1000~10,000ng/mL S3 LDHアッセイでLDH値 > 10 × 正常上限またはhCG値 > 50,000mIU/mLまたはAFP値 > 10,000ng/mL
こちらの分類によると、『原発巣は精巣および精巣上体に限局しており,血管およびリンパ管浸潤はない白膜には浸潤している可能性があるが,精巣鞘膜には浸潤していない、リンパ節転移は評価できない、遠隔転移なし、血清マーカーは未測定』という結果だそうです。
pT0は腫瘍が無いってこととも読み取れるし、pTisも癌に含めないってことですし、詳細なレポートには「白膜は保たれています」という文言もあったので、本当に物凄く初期だったと考えても良さそう。軽症と言っていいのではないかな。(まだ結構精神的に不安定なので、自分自身に言い聞かせている部分もあります。)
セミノーマ…?
そもそもセミノーマって何?って人が殆どだと思います。僕も今回自分が病気に罹るまで知らない言葉でした。セミノーマと非セミノーマを含む精巣腫瘍についての説明は以下の引用をご参照ください。
精巣腫瘍の主な組織型に精上皮腫、胎児性がん、卵黄嚢腫、絨毛がん、奇形腫があります。このうち、精上皮腫のみで構成されるものを“セミノーマ”、それ以外の単一組織型やセミノーマを含む複合組織型を“非セミノーマ”と呼びます。
セミノーマは全体の約70%を占め、非セミノーマが約30%とされています。非セミノーマはセミノーマよりも再発や転移を起こしやすいため、セミノーマに比べると予後はよくありません。
Medical Note『精巣腫瘍のステージ(病期)はどのように分けられるの? 日本泌尿器科学会の病期分類を解説』より引用
今回僕が罹患したセミノーマというものは放射線治療や抗がん剤が良く効くものであり、ステージ1であれば再発したとしても、正しく治療することで98~99%は治療可能な物になるそうです。これは本当に不幸中の幸いだったと言えると思います。
ホッとしていいのかは難しい所ですが、現代医学の統計上生き延びられる確率がとても高いというエビデンスに正直ホッとしたというのが率直な感想です。
再発リスクに関して気になっていた部分
一言でステージ1と言っても様々な状態があります。京都大学学術情報リポジトリの「Stage I 精巣腫瘍の治療戦略」には以下の記述がありました。
Stage I セミノーマの再発率は低いため,全例に補助療法を行うと,ほとんどの症例に不必要な治療を行う事になってしまう.そのため,再発率の高い症例を選別し,そのような症例に限って補助療法を行う必要がある.Warde らは,638人の stage I セミノーマ症例を中央値で 7 年間観察し,「腫瘍の大きさが 4 cm より大きい事」と「精巣網への浸潤がある事」が独立した再発の危険因子である事を明らかにした.これらの危険因子のない症例の 5 年非再発生存率は
京都大学学術情報リポジトリの「Stage I 精巣腫瘍の治療戦略」より引用
88.8%,危険因子を 1 個有する症例の 5 年非再発生存率は84.1%,危険因子を 2 個有する症例の 5 年非再発生存率は68.5%であった.
危険因子としては腫瘍の大きさが4cmより大きい事と、精巣網への浸潤がある事となっています。また因果関係があるかは分かりませんが非セミノーマの場合は脈管侵襲が危険因子であるとも記載されています。
僕が受け取った資料には「腫瘍の大きさは 23*18*24mm」「脈管侵襲は明らかではなく、精巣網浸潤は認められず、精巣上体や精管に著変ありません。」との記述がありました。これらを総合すると5年間の非再発生存率は88.8%の分類に属する事になります。(11.2%=9人に1人は再発するということでもありますが…)
この情報もとてもホッとする要素になりました。1/10万に当たっているので1/9なんて…とも思えますが、それでも8/90万と1/90万と考えたらさすがに8/90万でいけるだろ…とも思えます。というか1/90万やそれを超える低確率は宝くじで当たってくれ。
その他のリスク
精巣腫瘍罹患者は逆側の精巣腫瘍を罹患する確率が一般の方と比べて非常に高くなります。
精巣腫瘍患者における両側(同時性、異時性を含む)の罹患率は2~3%であり、両側共に同一の組織型である場合が多い。
大阪医療センター「精巣腫瘍(泌尿器科)」より引用
それ故、精巣腫瘍に罹患した人は、残る反対側の精巣に腫瘍が発生する可能性は通常の人よりも高い。
同一組織型である場合が多いという文言や、セミノーマの方が罹患者の平均年齢が高いという統計もある事から、もし今後僕の左タマが病に侵されるとしたらそれもセミノーマの可能性が高いという事ですね。
この為、日頃から残った精巣をよく触れておく様に言われました。僕も不安なので既に毎日触っています。勿論発症しないのが最善ですが、万が一の場合も今回の様に早期発見出来れば切除だけで済む可能性が高いですし、一生毎日触り続けます。
とはいえ、3%だったとしても1/330万人ですからね…。年末ジャンボの1等が1/2000万なので年末ジャンボ6枚買って当選する様な確率じゃないのかな。いやまじでそれなら年末ジャンボ当たってくれ。
選択された治療方針
以上より再発リスクの低い分類であり、再発時も治療で98~99%の完治が見込める点や、放射線治療や抗がん剤治療におけるリスクとリターン(二次癌など)を考慮した結果、5年間の厳重経過観察、それ以降も経過観察の継続を推奨されました。
ということで、少なくとも当分は3ヶ月に1度の腫瘍マーカーとCTで、5年後には1年に1度くらいになるそうです。また本人が望めば5年目以降も半年に1度のペースなどで検査を行う事も出来るそうです。僕はビビりなので現時点では5年目以降も半年に1度の経過観察を続けたいと強く強く強く思っています。家族と命が大事ですからね。
その他
手術跡がまだ痛む為、元々悪い姿勢が更に悪くなってしまっている為か、最近腰の痛みを感じています。あまりにも姿勢が悪い上に、持ち前のネガティブさで悪い事ばかり考えてしまうせいか、他にも色々と身体の不調が気になってしまっています。
客観的に考えたら気にし過ぎ&姿勢悪過ぎなだけなのですが、リンパ節転移が起きた場合に腰痛が症状として出る場合があるとの記事も目にした事があったので、念の為来週単純CTだけ撮影をお願いしました。
これで何も無ければ安心出来ますし、見つかっても早期発見になりますしね。
感想など
現在までの合計治療費
今回の治療費は、町医者の泌尿器科で2870円+3440円+1130円。昭和大学病院の初診時19010円+術前診察1930円+入院&手術125530円+追加部屋代6050円+診察&診断書&郵送費8324円で、合計168,284円でした。
個人で入っている医療保険+がん特約と会社の福利厚生で加入している保険でほぼ返ってくるor1万円位プラスになるかも?って予定ですが…全然嬉しくはないですね笑
むしろ住宅ローンで団信入っていれば残債免除だったのになー笑 それどころかローン組めなくなっちゃった。賃貸派なので構わないと言えば構いませんが。。。
タイムマシーンがあったら1年前に戻ってフルローン組むのにな~笑
感想:健康編
先程も書きましたが、正直ホッとしました。ああ、生き残ったんだ。まだ生きられるんだと。
セミノーマは癌の中では予後の良い物ですが、それでも怖いものは怖いです。気付かなかったり、現在の様にインターネットで情報が手に入らなかったり、診察に行かなかったり、現代医学の進歩がなかったりしたら、手遅れになっていたかもしれません。
事実として治療方法が確立する以前の死亡率は非常に高かったそうですし、産まれるのが50年、100年早かったら、40代で死んでいたかもしれません。本当に現代に産まれてよかった。
今後は身体の状態をしっかり観察しつつ、必ず定期的な経過観察に行き、しっかり調べていただこうと思っています。
また今回大きな病気に直面し、死を強く意識したことで、自分で出来る病気対策は行っていこうと思いました。まずは今週ピロリ菌検査に行ってきます。これだけで胃がんのリスクを軽減出来るなら喜んでやります。
まだ時間も経っていないので、前向きな事を言っても強がりになってしまいそうですが、今後定期的に検査をして頂く事で他の病気も早期発見出来る可能性もあるわけですから、20年後、30年後に「あの時精巣腫瘍に罹患して良かった」と言い切れる人生を過ごしていきたいと思っています。
感想:人間関係編
今回病気になって一番強く思ったのは、自分も含めて人間いつ死ぬか分からないんだなという、当たり前な事でした。
有名人だったり知人だったり、今まで訃報を目にした事は何度もあったけれど、自分への実感は無く生きていました。70歳、80歳くらいまではなんとなく生きるんだろうと思っていた。でも、そうじゃないかもしれないという強烈なメッセージを、他でもない自分自身から叩きつけられました。
極端な事言えば、自分も友達も明日死ぬかもしれない。こんな当たり前の現実を学びました。
10年会っていない友達へ連絡してみた
そこで、10年連絡を取っていなかった友達に連絡して、再来週ご飯に行く約束をしました。理由は単純。疎遠になっていたけれど僕は彼が友達として好きだから。怪しいツボとか売られるんじゃないかって警戒されるかなって思ったけど、さすがに杞憂でしたね笑
別の友達と5年ぶりに会った
またそれとは別で、病理検査の結果を聞きに病院へ行く途中で中高の同級生から5年ぶりに食事に誘われたので、二つ返事で行ってきました。(病気の事は伝えていなかったので本当に偶然です。)
ここんとこ1ヶ月以上、ネガティブになって悶々と過ごす事も多かったのですが、この日は彼等のお陰で凄く楽しい時間を過ごせて、本当に気分転換になりました。本当に心から彼等にも彼等との縁にも感謝しましたし、やっぱり友達一人ひとりみんなの事が好きだなぁと強く思いました。
もしも病気になっていなかったらこんな気持ちは味わえなかったでしょう。こういった感謝や感情は切除された右タマからの最後の贈り物だったんだと思います。この気持ちを忘れる事無く生きていこうと強く思っています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
残念ながら僕の病気は悪性腫瘍でしたが、予後の良い分類だった点や早期発見だった点については安心しました。身体的・精神的ストレスから身体の調子に不調もありますが、これから少しずつ前を向いて暮らしていきたいと思っています。
皆様も是非ご自分の、もしくはパートナーのたまちゃんを触ってあげてください。そして違和感があったら絶対に大きな病院へ行ってください。
人生100年時代と言われますが、100年生きる為には健康管理が非常に大切ですよね。自分自身と愛する人の為にも、健康に気を配ってみんなで長生きしましょう!
最後までご覧頂きありがとうございました。
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